筑波大学は10月2日、50歳代に入っての運動やスポーツなどの余暇活動は、仲間と一緒に行うことが、5年後のメンタルヘルス(心の健康)を良好に保つとの分析結果を発表した。高齢期に入る前の中年期を対象に、活動がメンタルへルスに与える影響を調べたのは初めて。
■健康寿命の延伸へ、環境整備が重要
厚生労働省の「中高年者縦断調査」をもとに、第1回(2005年)と第6回(2010年)で回答した合計1万6642人の中年者(50歳から59歳)のビッグデータを使い、中年者の余暇活動(趣味・教養、運動・スポーツ)や社会活動(地域行事、子育て支援・教育・文化、高齢者支援)が5年後のメンタルヘルスに及ぼす影響を分析した。
その結果、中年者のメンタルヘルスにとって、趣味・教養、運動・スポーツなどの余暇活動を実施している者は、実施してない者と比べてリスクが低かった。ところが、地域行事や子育て支援・教育・文化、高齢者支援などの社会活動は、5年後のメンタルヘルスとの関係は見られなかった。
趣味・教養、運動・スポーツなどの余暇活動でも、運動・スポーツは、仲間と実施する場合だけに効果がみられ、1人での活動は効果が不明だった。
メンタルヘルスとは精神面での健康や心の健康をいう。精神的な疲労やストレス、悩みは身体的な健康にも影響を与え、逆に病気が精神面に影響を与えるとの報告も多い。
筑波大は、健康寿命の延伸に向け、職場や地域で仲間とともに手軽に運動・スポーツを実践できるプログラムの開発や環境整備の取り組みが重要であると指摘している。