国立研究開発法人農業生物資源研究所は4月9日、緑色に光る絹糸(きぬいと)が得られる遺伝子組み換えカイコの今年度の飼育実験計画を発表した。
緑色に光る絹糸を生産するカイコは、世界で初めて同研究所が緑色に光るクラゲ「オワンクラゲ」の遺伝子をカイコに組み込み作ったもの。
飼育実験は、その開発した遺伝子組み換えカイコを養蚕農家に近い環境で飼育した場合の繭の品質の安定性を調査するとともに、生育特性などを明らかにするため、同研究所(茨城・つくば市)内の遺伝子組み換えカイコ隔離飼育区域の隔離飼育室を使って5月から開始する。
発表によると、飼育は5月中旬から10月上旬までの約5月間に3回実施し、毎回約80㎡の広さの隔離飼育室で、遺伝子組み換えカイコ約1万匹と、対照の非遺伝子組み換えカイコ約1万匹を育てる予定。
飼育を行う隔離飼育区域の周辺には、カイコの祖先といわれているクワコが生息しているため、それとの交雑防止には万全を期すとしており、▽遺伝子組み換えカイコは、成虫が生じる前の繭の段階で収穫して不活化する、▽隔離飼育室の開閉可能な窓、シャッター、換気口には、網を張り、クワコ成虫の侵入を防ぐ、▽飼育終了後に残る桑の枝などは、残渣保管場所で管理するという。
同研究所では、4月24日午後2時からつくば市大わしの同研究所(大わし地区)で飼育実験に関する説明会を開催する。参加希望者は、23日正午までに電話(029-838-8469)またはEメールで申し込み。