国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4月10日、これからの日本の衛星打ち上げで運用する新型基幹ロケットとなる「H-Ⅲ(仮称)」の開発状況について9日、文部科学省の宇宙開発利用部会に報告したと発表した。それによると、ロケットの全長は約63mで重さ6~7tの衛星を打ち上げる能力を持ち、コスト半減を目指す。新型基幹ロケットは、本年度中に基本設計を終えて2017年度に詳細設計、2018年度から試験機を2機製作、その1号機を2020年度に打ち上げることになっている。
■2020年度に試験機1号機を打ち上げ
このロケットは、現用の衛星打ち上げ用の主力ロケット「H-ⅡA/B」に続く次世代ロケット。衛星打ち上げ能力を「H-ⅡA」の1.3~1.5倍大きい6~7tに高めるとともに、打ち上げ費用を現在の1機100億円程度から50億円程度(世界平均は70億円程度)に下げ、国際的な衛星打ち上げビジネスでの競争力強化を目指している。開発の主契約者は三菱重工業(株)。
新基幹ロケットは「H-Ⅱ」ロケットより少し背の高い全長約63mの液体燃料式2段式ロケットで、搭載衛星重量に応じて1段目は新型エンジン2基か3基とし、改良型の固体燃料ブースターを4本まで付けて推力を補強できる。2段目を改良型エンジン1基にするか2基にするか検討中。地上設備類も、点検の自動化などで打ち上げ要員数を現在の100~150人から30人程度まで削減、打ち上げ費用引き下げを狙う。
こうして開発される新基幹ロケットの実機として試験機が2機作られる。試験機1号機は2018年度から、同2号機は2019年度から、それぞれ製作に着手し、1号機は2020年度に、2号機は2021年度に、いずれもJAXAの種子島宇宙センターから発射する計画になっている。