
農業用水路での調査状況(提供:農村工学研究所)
(独)農業・食品産業技術総合研究機構の農村工学研究所と日本工営(株)は9月10日、農業用水路のトンネル内のひび割れなどを無人で点検するロボットを開発したと発表した。通水中でも点検でき、定期的な機能診断や崩落の未然防止などへの活用が期待できるという。
■高感度カメラ3台で監視
開発したロボットは直径45cm、高さ約53㎝、重さ約35㎏の円筒形。トンネルの左右の側壁と天井部分を撮影する高感度カメラを透明のドーム内部に3台搭載、下部の船体内部に透明ドームを回転させ、カメラの照準を合わせておくモータと、バッテリーを内蔵している。
ロボットをトンネル入口から流し入れると回転運動などで撮影画像が動き、ひび割れの見落としなどが発生する恐れがある。それを防ぐため4個のセンサーで壁面との距離を1秒間に10回の頻度で計測し、その変化量をもとに透明ドーム部を回転させ、高感度カメラが壁面を常に正面からとらえる仕組みを開発した。
撮影画像はSDカードに記録しておき、回収後パソコンなどで点検結果を確認する。
長さ約800m、直径1.7mの水路トンネルで実証試験したところ、毎秒1.0mの流れの中で幅1.5mm以上のひび割れの有無を判別することができたという。開発チームは、地震後の緊急点検や定期的な診断などでの活用を期待している。