(独)産業技術総合研究所(産総研)と本田技研工業(株)=ホンダ=は6月17日、東京電力・福島第一原子力発電所向けに遠隔操作で放射能に汚染された原子炉建屋内などを調査する「高所調査用ロボット」を共同で開発したと発表した。構造物などが入り組んだ状況でも、障害物を巧みによけながら7mの高さまで首を伸ばし、カメラや線量計などで現場の状況を詳細に調査する。6月18日から現場で活動を開始する。
■400mの光ファイバーで遠隔操作
開発したロボットは全幅0.8m、奥行き1.8mで、移動するときの全高は1.8m。長さ400mの光ファイバーで原子炉建屋から遠く離れた免震重要棟などから遠隔操作、暗くて狭い場所を移動しながら調査地点を目指す。
調査地点に到着すると、多数の関節を同時に制御して、首を伸ばすように障害物をよけながらアームを伸ばし、陰に隠れて見えない場所も容易にとらえる。アーム先端に設置したズームカメラやレーザー測定器、線量計が、対象物の詳細な画像や三次元形状、放射線量などを調べて送ってくる仕組みだ。
ホンダが開発した人型ロボット「ASIMO(アシモ)」で培った制御技術と、産総研が開発した低重心で倒れにくい高所作業車の技術を組み合わせて作った。