起きている時の経験が眠気に大きく影響
―マウスを使った実験で確認
:筑波大学

 筑波大学は6月17日、寝る前にやっていたとことによって眠気の程度に違いがあることがマウスを使った実験で確かめられたと発表した。眠気(眠りへの落ちやすさ)と睡眠デマンド(深い眠りへの入りやすさ)は必ずしも相関せず、それぞれ独立に制御されており、眠気と睡眠デマンドそれぞれに連関して変動するマーカーも見出したという。睡眠障害などに役立つ成果という。

 

■関係する2つのタンパク質を発見

 

 実験はマウスを2グループに分けて実施。一方のグループは眠ろうとしている時に穏やかに触れて睡眠を邪魔する“嫌々起きている状態”にした。他方は1時間ごとにケージ交換を行って新しい環境を探索させ、自発的な覚醒を惹起する”自発的に起きている状態“にした。マウスが通常もっともよく寝る時間帯にそれぞれ6時間にわたりほぼ完全に断眠させ、その後の様子を調べた。
 その結果、両グループのマウスとも断眠後のノンレム睡眠中の脳波低周波成分は同程度に増加、つまり同程度の睡眠デマンドの増加を示していたが、眠りに落ちるまでに要した時間は“自発的に起きている状態”にされたマウスの方が長く、眠気の程度は低かった。
 これによりマウスを同じ時間断眠させても覚醒時にやっていたとこによって眠りに落ちるまでの時間には差があり、眠気は起きている間の様々な経験により変動することが立証されたという。
 研究チームはさらに、眠気と睡眠デマンドの程度による脳内タンパク質のリン酸化レベルの変化を調べ、脳神経細胞とグリア細胞から眠気と睡眠デマンドに連関する2つの生化学的マーカー(タンパク質)を発見した。今後このマーカーの詳細な解析を進めたいとしている。

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