乳酸菌に特有の免疫活性化メカニズムを解明
―予防医学・機能性食品への応用に期待
:産業技術総合研究所/キッコーマン

 (独)産業技術総合研究所とキッコーマン(株)は6月21日、乳酸菌が腸管の免疫を活性化するメカニズムを解明したと発表した。乳酸菌に特有の健康維持・増進の効果が初めて分子レベルで明らかになったことで、乳酸菌の活用による予防医学の進展や、機能性食品への応用などが期待できるという。

 

■乳酸菌内の二重鎖RNAが関与

 

 乳酸菌は小腸に常在すると同時に、ヨーグルトや漬物などの発酵食品として摂取され、健康維持・増進の効果が知られている。特に免疫増強効果について多くの研究報告があり、免疫疾患への応用が期待されている。しかし、これまで乳酸菌特有の免疫活性化メカニズムなどは明らかになっていなかった。
 共同研究チームは今回、小腸の主要な常在細菌である乳酸菌が多量の二重鎖RNA(リボ核酸)を持つことを見出した。また、乳酸菌内にある二重鎖RNAが小腸の免疫細胞(樹状細胞)を活性化してインターフェロン-β(ウイルスや腫瘍細胞の増殖を抑えたり炎症を抑えたりする作用を持つタンパク質)を産生させ、それによって抗炎症効果を発揮すること、腸炎の予防など腸管の免疫レベルの維持に直接関与していることを突き止めた。
 研究チームは今後、腸内常在乳酸菌や発酵食品などに含まれる乳酸菌の機能を効果的に暮らしに取り入れたり、臨床の場で応用したりするための研究を進めたいとしている。

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