沖縄県久米島西方海域に新たな熱水活動域を発見
―資源鉱床の可能性を引き続き調査へ
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は12月12日、沖縄県久米島西方海域で新たな海底熱水活動域を発見したと発表した。海底資源が賦存する海底熱水鉱床が形成されている可能性があり、引き続き同海域の地質調査を進める予定という。
 日本周辺海域の海洋地質図の作成・整備を進めている産総研は、平成23年度の調査で久米島西方海域の一部にカルデラを持つ海底火山を複数確認した。それを受けて24年8月中旬から9月中旬にかけ、海底地形の調査や岩石・堆積物採取などの地質調査を実施した。
 その結果、直径数kmのカルデラ地形を持つ海底火山の一つで活発な火山活動を示すプルーム(噴出している熱水が雲状に広がった状態)を音響調査により複数確認した。プルームが認められた近くでは、激しい発泡現象を示す堆積物も採取した。
 また、このカルデラ内で海水の濁度の異常を観測するとともに、熱水噴出口から煙突状に突き出た構造物チムニー(熱水に溶けている金属などの沈澱で形成)の破片と考えられる試料を採取した。さらに別の海底火山から、熱水活動によって形成されたと考えられるマンガン酸化物を採取した。
 熱水活動域では鉱床の形成が期待されるため、産総研は採取試料の分析を進めるとともに、今後、経済産業省、(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構との連携のもとで鉱床の可能性の調査などに取り組む予定という。

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魚群探知機でとらえたカルデラ底から立ち上るプルーム(提供:産業技術総合研究所)