2年連続ゴードン・ベル賞受賞
―スパコン「京」で宇宙進化計算
:筑波大学/理化学研究所/東京工業大学

 筑波大学と(独)理化学研究所、東京工業大学は11月16日、スーパーコンピューター「京」を用いた宇宙進化に関する研究で米国の「ゴードン・ベル賞」最高性能賞を受賞した。最後まで競い合った米国の研究グループを抑えての成果で、日本の研究グループによる受賞は昨年に続き2年連続となった。
 米国のソルトレイクシティで開かれた「高性能計算技術に関する国際会議(SC12)」で受賞したもので、大規模計算を非常に高い実効性能で実現したことが評価された。
 受賞した研究は、宇宙に存在する物質の大部分を占めるダークマターが宇宙誕生時にどう広がっていったかを調べた世界最大の重力進化シミュレーション。約2兆個のダークマター粒子を対象に、独自開発の専用アプリケーションを「京」全体の約98%を使用して走らせて計算、実効性能5.67ペタフロップス(1秒間に0.567京回計算)を達成した。
 今回は米アルゴンヌ国立研究所の研究グループが、ピーク性能約20ペタフロップスのスーパーコンピューターを用いて同じダークマター粒子の計算で14ペタフロップスを実現、最終段階まで受賞を競い合った。しかし、日本の研究グループは、ピーク性能では10.62ペタフロップスとやや劣る「京」を使いながら、ダークマター1粒子あたりの計算速度で米国を約2.4倍も上回った。
 これまでゴードン・ベル賞は、世界最高速のコンピューターで最高性能のアプリケーション計算をした方が有利とされていたが、今回は、より高度なアプリケーションを開発した点が高く評価され、従来の慣例を覆した。
 ゴードン・ベル賞は、計算機設計者として有名な米国のゴードン・ベル氏によって1987年に創設されたもので、毎年1回スーパーコンピューター関連で最も優れた成果に授与される。日本は2004年に神戸大学が(独)海洋研究開発機構の「地球シミュレーター」を使った成果で、また昨年には筑波大学、理研などの研究グループが受賞している。

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