(独)産業技術総合研究所と東電環境エンジニアリング(株)は11月12日、放射性セシウム汚染植物の焼却灰から放射性セシウムを85%以上抽出、吸着し、回収する技術を開発、これを用いた植物系放射性セシウム汚染物の除去・減容実証試験プラントを福島県双葉郡川内村に設置したと発表した。 この実証試験プラントでは数トンの植物系放射性セシウム汚染物を試験的に焼却し、汚染物の1,000分の1の量のプルシアンブルーナノ粒子を吸着材にして放射性セシウムを回収、これによって中間貯蔵施設における廃棄物容積の低減を実証する。併せて、焼却熱を利用したバイオマス発電の基盤技術確立を目指すという。 プルシアンブルーは、紺青とも呼ばれる人工合成の青色顔料で、ナトリウムやカリウムなど類似イオンの存在下でもセシウムイオンを選択的に高効率に吸着する能力がある。産総研はプルシアンブルーナノ粒子によるセシウム回収関連技術の開発をこれまで精力的に進めていた。 今回のプラントは、燃焼・熱回収装置と放射性セシウム除染回収装置から成る。燃焼・熱回収装置では、汚染物を燃やして灰にして減容するとともに、熱交換器を用いて温水をつくる。除染回収装置では焼却灰を水や酸などの抽出液と混合、固液分離し、放射性セシウムを抽出液中に溶かし出す。飛灰と水の組み合わせの場合、90%程度の抽出が想定できるという。 焼却灰は最終的に埋め立てられると考えられるが、除染回収装置で放射性セシウムを高率で抽出するので、最終処分場で焼却灰が浸出水などと接触しても放射性セシウムの溶出は大幅に抑えられるという。 次にプルシアンブルーナノ粒子を用いて抽出液中から放射性セシウムを回収する。抽出液にはカリウムイオンが大量に含まれるため、ゼオライトなどを吸着材として利用した場合にはセシウムの回収率が落ちるが、プルシアンブルーナノ粒子だとそうしたことはなく、放射性セシウムの選択的、高効率吸着が期待できるという。 開発チームは、実証試験プラントでの検証結果をもとに、関連企業と連携して実用プラントの開発を推進したいとしている。
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プルシアンブルーナノ粒子吸着材の例(提供:産業技術総合研究所) |
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