世界初の微生物によるN2O削減技術を開発
―大豆の根に共生する根粒菌を利用
:農業環境技術研究所/東北大学

 (独)農業環境技術研究所と東北大学は11月11日、大豆の根に共生する根粒菌を利用して温室効果ガスの一酸化二窒素(N2O)を窒素ガスに分解する世界初の微生物によるN2O削減技術を開発したと発表した。
 N2Oは、強力な温室効果ガスであると同時に、オゾン層破壊の原因物質で、農耕地がN2Oの主要発生源の一つになっている。
 大豆の根では、細菌の一種である根粒菌が根粒と呼ばれるコブを作って共生(生育)し、空気中から取り込んだ窒素を肥料成分のアンモニアに変えているが、根粒が老化するとN2Oガスが放出される。
 開発した新技術は、根粒菌の中にN2Oを窒素ガスに還元する「N2O還元酵素」を持つ菌とそれを持たない菌とがいて、N2O還元酵素を持つ根粒菌によって形成される根粒がN2Oを分解除去していることを発見、さらにN2O還元酵素の活性を7~11倍にアップした強化株を作ることに成功たことで、実現した。
 農家規模の大豆畑での実証試験は実施済みで、大豆収穫後のN2O発生を47%削減できたという。
 世界のN2O発生量の60%が農耕地から出ているとみられているため、欧州各国もN2O還元酵素を使ってのN2O削減の研究を開始しているが、「全てにおいてわれわれのチームがリードしている。実用化に向けた研究を早急に進めたい」と農環技研はいっている。
 この研究成果は、11月12日発行の英国の科学誌「Nature Climate Change」のオンライン版に掲載された。

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大豆根粒菌を接種した大豆圃場(ほじょう)(提供:農業環境技術研究所)