(独)農業環境技術研究所は9月18日、大気中の温室効果ガス濃度が高まり地球温暖化が進行すると、世界の穀物主要生産国である米国、ブラジル、中国のトウモロコシ、大豆の生産量が大幅に低下することが予測されるとする調査結果を発表した。
トウモロコシと大豆は、新興国の食生活の変化やバイオマスエネルギーへの利用の進展などで今後、世界の需要が急激に増大すると見通されている穀物で、米国、ブラジル、中国の3カ国が世界生産の約8割を占めている。
今回の調査は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の「第5次報告書」で使っている大気中の温室効果ガス濃度の増加程度が異なる4つの「気候変化シナリオ」のもとで米国、ブラジル、中国のトウモロコシと大豆の生産性が2010年から2070年までの間にどう変わるかを予測したもの。
それによると、大気中の温室効果ガス濃度の増加のもっとも大きい気候変化シナリオの場合で、トウモロコシの収量は2070年時点で3カ国とも2010年より20%程度低下、大豆の収量ダウンはさらに大きく、米国は2070年時点で2010年より約30%、ブラジルは同50%それぞれ減少する予測結果が得られたという。
同研究所は、今回の3カ国以外の世界各国の生産性変動の予測も今後行なうとしている。
No.2012-38
2012年9月17日~2012年9月23日