(独)産業技術総合研究所は9月20日、鏡の状態と透明の状態を朝夕2回切り替えるのを1サイクルとして約30年に相当する1万サイクル以上の耐久性を持つ調光ミラーを開発したと発表した。これは従来の7倍以上の性能。この調光ミラーをオフィスビルなどの窓ガラスに用いると、光や熱の出し入れの調節によって建物の冷房負荷を大幅に低減できるという。
調光ミラーは、水素化、脱水素化によって透明状態から鏡状態へ、あるいはその中間の状態に自由に可逆的に切り替えられる材料。調光ミラーを組み込んだ窓ガラスを用いると、透明複層製の通常の高断熱窓ガラスより30%以上冷房負荷を減らせるとされ、光学特性、耐久性ともに優れた材料の開発が焦点になっている。
研究チームは今回、調光ミラー用薄膜材料としてマグネシウム・イットリウム系合金が有力であることを見出し、その製法を工夫することにより、耐久性については、従来最高だったマグネシウム・ニッケル合金の7倍以上、光学特性については、同じく最高のマグネシウム・カルシウム合金に匹敵する性能の調光ミラーを作製することに成功した。
調光ミラーを窓ガラスに使用するのには、水素ガスと酸素ガスの簡便な供給システムが必要なため、研究チームは今後、ガス供給システムの開発を進め、調光ミラーを用いた窓ガラスユニットを製作し、実用化につなげたいとしている。
No.2012-38
2012年9月17日~2012年9月23日