調査した98%超から放射性セシウム検出せず
―梅雨期の福島県内3カ所・264試料の渓流水
:森林総合研究所

 (独)森林総合研究所は9月21日、福島県内の森林から流れ出る渓流水を梅雨期に採取し、含まれる放射性物質を測定し、結果を発表した。それによると、同県内3カ所の渓流水の放射性セシウム134と同137は、264試料中98.5%の260試料からは検出されなかった。しかし、降雨があった日の4試料から1ℓ当たり1.0~13.1ベクレルの放射性セシウム(134と137の合計)が検出された。
 同研究所では、放射性セシウムが検出された渓流水に懸濁物質が見られたため、ろ過して測定したところ、ろ過後の渓流水からは不検出だった。このため同研究所では、渓流中の放射性セシウムは、懸濁物質が主な由来と考えられるとしている。
 2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に伴う東京電力福島第一原子力発電所(福島県大熊町・双葉町)の事故で放射性物質が大気中に放出、河川上流の森林に降下した。農林水産省の委託を受けた同研究所は、福島県林業研究センターと協力して福島県内の伊達市、飯館村、二本松市、会津若松市、郡山市、広野町の6市町村の森林で3月~4月、融雪期の渓流水に含まれる放射性物質を測定した。342試料のうち、降雨のあった日に採取した伊達市、飯館村、二本松市の3地点の9試料から1ℓ当たり1.0~5.9ベクレルの放射性セシウムが検出された。
 同研究所では、この3地点に関して5月1日~7月31日まで、継続して毎日定時に自動採水装置で渓流水を採取して計測。5月中に採取した4試料で、1ℓ当たり1.0~13.1ベクレルの放射性セシウムを検出したが、6、7月は、不検出だった。検出された試料は、おもに雨で増水した日に採取されたもので、増水した渓流水に含まれる懸濁物質に由来すると考えられるという。
 伊達市と飯館村については8月以降も採取を継続して分析を進める。

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