同時に畜産排水の脱色・消毒・リン分回収する処理材を開発
:畜産草地研究所/千葉県畜産総合研究センター/太平洋セメント/小野田化学工業

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構の畜産草地研究所は6月4日、千葉県畜産総合研究センター、太平洋セメント(株)、小野田化学工業(株)と共同で、畜産排水の脱色と消毒、リン分回収を同時に行うことができる“一石三鳥”の排水処理材を開発したと発表した。
 畜産農家にとって着色浄化処理水への苦情に対する対応は、頭の痛い問題。また、リンは、肥料の3要素の一つで、かつ世界的に枯渇が危惧される貴重な資源であることからリン資源の循環利用は将来に向けての農業全体の大きな課題とされている。
 新排水処理材は、畜舎から出る浄化処理水の着色を無くすと共に、大腸菌類を99%以上除去し、さらに排水中のリンを回収して肥料に再利用できる。
 この排水処理材は、「非晶質ケイ酸カルシウム水和物(略称・CSH)」と呼ばれ、ケイ酸と消石灰を熱反応させて作る。使用法は、通常の浄化処理を行った後の畜産排水にこのCSHを1t当たり0.5~1.5kg添加し反応槽内で2~6時間反応させるという簡単なもの。
 実験では、排水1t当たり0.5kg以上の添加量で、リン除去率90%以上、大腸菌群除去率99%以上を記録している。
 使用後のCSHは、く溶性リン酸を20%程度と、く溶性苦土(酸化マグネシウム)、可溶性ケイ酸、全カルシウムといった各種の肥効成分を含み、乾燥させればそのまま肥料として利用できる。

詳しくはこちら

処理材を使うことで色度が大幅に改善する。左が処理前、右が処理後(提供:畜産草地研究所)