筑波大学は6月6日、東京大学、(独)科学技術振興機構と共同でグラフェンと呼ばれるシート状の炭素材料とダイヤモンドからなる「グラフェン-ダイヤモンド複合構造」が優れた電気伝導性と高い放熱特性を示すことを発見したと発表した。
現在の半導体デバイスは、素子間を結ぶ配線に銅を使っている。しかし、素子の高集積化に伴い配線の発熱が大きくなり、より電気抵抗の低い配線材料や、熱をより効率良く放出する配線構造の開発が求められている。
中でも注目されているのが、銅を凌ぎ銀に匹敵するほどの優れた電気伝導性を持つ炭素原子1層からなる2次元のシート状炭素材料グラフェン。
研究チームは、炭素原子1個分の厚さを持つグラフェンの細線「グラフェンナノリボン」を、両端からダイヤモンドで挟み込んだ「グラフェン-ダイヤモンド複合構造」にしてシミュレーション解析を行い、この構造が強磁性金属状態になっていて優れた電気伝導性と高い放熱特性を示すことを発見したもの。
この成果は、銅配線を凌ぐ次世代のグラフェン配線の具体的構造を発熱の回避法と共に示したといえ、研究グループは、「より大規模なグラフェン-ダイヤモンド複合構造について電子輸送シミュレーションを行い、配線材料としての具体的な特性を明らかにしていく」としている。
No.2012-23
2012年6月4日~2012年6月10日