奇妙なマヨラナ粒子の存在を理論的に確認
―トポロジカル超電導体の量子渦の中で補足
:物質・材料研究機構(2015年10月21日発表)

 (国)物質・材料研究機構は10月21日、約80年前に存在が予言されていながら今なお確認されていないマヨラナ粒子がトポロジカル超電導体の量子渦の中で捕えられていることを理論的に示したと発表した。物質中での存在確認に一歩近づく成果で、今後高い精度での実験的な観測が期待されるという。

 

■物質の中での確認に大きく近づく

 

 マヨラナ粒子は粒子と反粒子が同一で、電気的に中性のフェルミ粒子。イタリアの理論物理学者E・マヨラナが1937年にその存在を予言したが、エネルギーがゼロで電気的に中性などのために物質中で捕えることが難しく、世界の科学者が存在の確認を目指して競っている。

 近年、新たな超電導状態を持つトポロジカル超電導体の準粒子励起がマヨラナ粒子として振る舞うことが指摘され、今年に入って中国・上海交通大学の実験グループが、超電導量子渦の中心部で大きなゼロエネルギー準粒子励起密度を観測した。

 物材機構の研究グループは中国のこの観測結果に注目し、今回、大規模で高精度な理論解析を行い、中国の実験結果がマヨラナ粒子の存在証拠になっていることを理論的に示した。

 マヨラナ粒子の集団としての振る舞いは、莫大な情報を驚異的な速さで処理できる強靭な量子計算機の構築に使えると考えられており、マヨラナ粒子の高い精度での確認は科学技術の新展開に大きな波及効果をもたらすことが期待できるという。

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