(独)国際農林水産業研究センターは9月10日、南米のパラグアイで行っている「小規模植林CDM事業」と呼ばれる農村開発事業が9月6日付で国連登録になったと発表した。
CDMは、京都議定書で創設された国際的な温室効果ガス削減策の1つで、「クリーン開発メカニズム(Clean Development Mechanism)」の略。小規模植林CDM事業とは、植林による温室効果ガス吸収量が年間16,000t以下の事業と定義され、今回のパラグアイにおける同センターの事業が日本政府の承認した初の小規模植林CDM事業になる。
パラグアイは、南米の中央部に位置する内陸国で、無肥料・収奪型の農業・牧畜を行ってきたことによる農地・草地の疲弊が深刻化している。
今回、国連登録になったのは、同センターがパラグアイの環境庁、国家森林院などと共同で3年前から住民参加をベースに215ヘクタールのやせて荒れた農地を使って実施してきた「アグリフォレストリー」(植林地の樹と樹の間を利用しての作物栽培)の実現とCO2削減を目指すプロジェクトで、小規模植林CDM事業はパラグアイでもこれが初めて。
このパラグアイでの小規模植林CDM事業で樹木が吸収する1年間のCO2量は、年平均1,523tで、今回、国連のCDM理事会に登録されたことにより、今後国連からそのCO2吸収量に応じた炭素クレジットが発給され、同国の小規模植林CDMプロジェクトの継続実施と農村開発に活用されるという。
この手法は、パラグアイの他地域や類似条件の南米各地へも導入可能と同センターでは見ている。
No.2009-36
2009年9月7日~2009年9月13日