新大型ロケット使い無人宇宙補給機の打ち上げに成功
:宇宙航空研究開発機構

  (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9月11日、我が国初の無人宇宙補給機(HTV)の技術実証機を搭載した新開発の大型「H-IIB」ロケット試験機を同日午前2時1分過ぎに同機構の種子島宇宙センター(鹿児島・種子島)から打ち上げ、約15分後にHTVを国際宇宙ステーション(ISS)に向けて第2段ロケットから分離することに成功したと発表した。
 HTVは、三菱重工業(株)を中心に(株)IHI(旧・石川島播磨重工業)、三菱電機(株)などが分担開発した無人宇宙補給機。直径約4.4m、全長10m弱の円筒形で、観光バスが収まるほどの大きさ。機体は、3つに大別され、最後部が軌道変更用や姿勢制御用のエンジンなどからなる推進部、中央部が誘導制御系や通信データ処理系などの電子機器を載せた電気部、最前部がISSへの補給物資や実験器材などを積む補給部になっている。今回は、ISS向けの食料や観測装置など4.5tを搭載して打ち上げられた。
 HTVは、再使用が可能な米国の「スペースシャトル」とは違い、最終的には地球大気圏に再突入して燃え尽きる“使い捨て型”だが、ISSと結合する補給部の開口部の大きさが1.2m四方と大きいのが特色。「スペースシャトル」と並びISSへの物資補給に使われているロシアの「プログレス」や欧州宇宙機関(ESA)の「ATV」は、開口部が小さく直径80cm以上の大型器材類を搭載できない。「スペースシャトル」が予定通り2010年秋に引退すると、ISSへの大型器材の運搬手段がなくなってしまうため、ISSの当面の運用期限の2015年までは今後毎年1機、合計6機のHTVを「H-IIB」ロケットで打ち上げることが計画されている。
 今回初めて打ち上げた「H-IIB」ロケットは、これまでの「H-IIA」ロケットと併せて運用することで幅広い打ち上げニーズに対応するため、JAXAと三菱重工業が共同で開発した次世代の2段式ロケット。「H-IIA」では1基だった1段目の液体水素と液体酸素を推進薬とする液体ロケットエンジン(LE-7)を2基搭載、固体ロケットブースターも2本から4本に増強、さらに、1段目タンクの直径を4mから5.2mにするなどして、推進薬積載量を約1.7倍にした。このため、全長は「H-IIA」ロケットより3m高い56mとなり、低軌道への打ち上げ能力が12tから16.5tに上がった。

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上昇する「H-IIB」ロケット(提供:宇宙航空研究開発機構)