(独)農業環境技術研究所は8月18日、食料の生産と消費に伴って流出する窒素による水質への影響を推定する「窒素循環モデル」を作成したと発表した。
食料の生産・消費は、環境への窒素の流出を引き起こし、地下水や河川水の汚染の大きな原因になっている。その窒素は、化学肥料のほか、食料や肥料の貿易、魚貝類の消費などによって国土に流入し、作物・家畜・人の間を循環した後、地下水や河川に流出している。
今回の窒素循環モデルは、肥料投入量、作物や畜産品の生産量、食料貿易などに関する統計データ(国連食糧農業機関の国別統計、農水省の自治体別統計など)や、各食品の窒素含有率、畜産のタンパク質転換効率、アンモニア発生係数などの文献値に基づいて作成したもので、1961年、1988年、2003年の我が国の窒素のフロー(流れ)の推定量がトン数で示されている。
同研究所は、得られた窒素フローの推定結果から、我が国では1980年代後半まで、人口の増加と畜産品消費量の増加により、食料・飼料として消費される窒素量が増加したが、1990年以降はほとんど変化がないことが分かり、窒素の国土への全流入量と環境への流出量も同様の変化をしていることが判明したとしている。
No.2009-33
2009年8月17日~2009年8月23日