リチウムイオン2次電池用の安価な新電極材料を開発
:産業技術総合研究所/田中化学研究所

 (独)産業技術総合研究所は8月17日、(株)田中化学研究所と共同で、電気自動車やハイブリッド自動車の電池として注目を浴びているリチウムイオン2次電池用の新電極材料を開発したと発表した。
 リチウムイオン2次電池は、重量・体積当たりの貯蔵・放出エネルギーが大きく、電動車両用電池の中核に成長するものと期待され、一層の高性能化と共に低コスト化の研究が内外で進められている。
 今回の成果は、安価なプラス極(正極)用の新材料を開発したもので、11月30日~12月2日に国立京都国際会館(京都・左京区)で開かれる「第50回電池討論会」で詳細を発表する。
 リチウムイオン2次電池の正極には、高価な希少金属のコバルトを主成分とする金属酸化物(コバルト酸リチウム)が使われているが、それに代わる資源的な制約のない安価で高性能な正極材料は見つかっておらず、その開発が待ち望まれている。
 開発したのは、2種類の正極材料。両方共コバルトを含まないコバルトフリーの酸化物で、既存のコバルト使用の正極に近い放電電圧を実現した。
 リチウムイオン2次電池は、リチウムイオンが充電時に正極から負極へ、放電時に負極から正極に移動することで電気が起こり、正極の充放電時のリチウムイオン出し入れ量で電池の容量が、出し入れ時の電圧で電池電圧がそれぞれ決まるため、正極の優劣で電池性能が決まってしまうと言われている。
 新正極材料は、2種類共、リチウム、鉄、ニッケル、マンガンを成分とする酸化物で、ニッケルの成分割合だけが違う。最も性能として重要な放電電圧は、既存の正極(4.0V)に近い3.5~3.7Vを記録している。
 同研究所は、2010年の早い時期に電池メーカーなどへのサンプル提供を開始したいとしている。

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