カドミウム汚染水田の低コスト浄化技術を開発
:農業環境技術研究所/山形県農業総合研究センターほか

 (独)農業環境技術研究所は8月21日、山形県農業総合研究センター、新潟県農業総合研究所、福岡県農業総合試験場、秋田県農林水産技術センター、三菱化学(株)と共同でカドミウムで汚染された水田を低コストで浄化する新技術を開発したと発表した。
 カドミウムは、土壌や鉱物中など天然にある重金属の一種。国内には、過去の鉱山、精錬所、工場などから排出されたカドミウムを含む排水や排煙によって汚染された水田があり、そうした水田でイネを栽培するとイネが吸収するカドミウムの量が通常の水田での栽培より多くなって相対的に高濃度のカドミウムが米に蓄積されることになる。このため、「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律」に基づきカドミウム汚染水田の土壌浄化が進められている。
 新技術は、「ファイトレメディエーション」といい、カドミウムを通常より大量に吸収するインディカ種のイネを汚染水田で栽培し、成長させ、カドミウムをたっぷり吸収させた後イネを焼却し、発生したカドミウムを含む灰を廃棄処分するという方式。使用するイネは、「IR8」と呼ばれる品種など3種で、2~3作栽培することで土壌中のカドミウム濃度を20~40%低減できる。コスト的にも安く、汚染土壌を水田から除去してきれいな土を入れる従来の客土工法の7分の1程度ですむとしている。
 この方法で浄化し、カドミウム濃度を低減した水田を使って食用のイネを栽培したところ、玄米中のカドミウム濃度が40~50%減少したという。
 この技術は、農業用水の必要量が少なく、既存の農業機械で対応でき、低コストで広範囲にわたって実施できることから農水省も注目、現在、気象条件や汚染濃度の異なる様々な水田を対象に同省による実証事業が進められている。

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