ナノ膜技術を医療分野に、民間企業と共同で開発
:物質・材料研究機構

 (独)物質・材料研究機構と旭化成クラレメディカル(株)は8月18日、血液浄化用の医療用フィルターとバイオ医薬品プロセス用の分離デバイスを共同開発することで合意したと発表した。
 今回の合意では、同機構のナノ有機センターが開発した水処理用ナノ膜の技術を血液浄化システムなどに応用するため、ナノ膜の分離性能の最適化や安全性の向上を目指す。
 同機構では、有機分子を高速濾過する多孔性ナノシートを開発しており、同様な分画分子量(ろ過される分子の大きさ)をもつ市販の水処理膜と比較して、約1,000倍の処理速度を実現している。また、高分子やタンパク質を除去するナノ膜の製造でも独自の技術を開発している。
 旭化成クラレメディカルは、血液透析で使用する人工透析膜の市場で国内1位、世界シェア2位を競うトップメーカーで、その需要は経済成長が著しい中国やインドなどで増加しており、市場が急速に拡大することが見込まれている。さらに同社は、血液浄化療法用、バイオ医薬品向けのウイルス除去用デバイスなども手がけており、医療用膜分野では世界最高水準の優れた技術力を持っている。
  両者の共同開発による今回の合意では、同機構の水処理膜の特許を旭化成クラレメディカルに供与し、両者の先端技術を組み合わせた技術協力で、臨床応用のための優れたデバイスを開発するとしている。

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