(独)農業環境技術研究所は3月25日、地球温暖化などの気候変動が日本各地のイネの生産性にどんな影響を及ぼすかを解析するための気象データベースを開発、ウェブサイト(http://MeteoCrop.dc.affrc.go.jp)で3月31日から公開すると発表した。
地球温暖化の進行は、イネの生産性に大きな影響を与えるといわれている。その気候変動による影響を把握するには、イネの収量や品質に大きな影響を及ぼす水田の水温や穂の温度など、一般の気象観測では得られない水田のミクロな気象要素を推定し、そのデータを供給するシステムがいる。
開発された気象データベースは、「モデル結合型作物気象データベース(MeteoCrop DB)」といい、イネ収量の将来予測や品質低下のリスク評価、温暖化に備えた適応技術の開発などに威力を発揮するものと期待される。
この気象データベースには、アメダス(全国約1,300地点に設置した気象庁の地域気象観測システム)の全国約850地点の1980年以降の日別気象データが収納されているほか、イネの収量や品質に重要な影響を与える各アメダス地点の日射量と温度の推定値などが入っている。
また、データベースに組み込まれたイネ生育モデルと水田物理環境モデルによって、コシヒカリなど主要品種の生育期や出穂・開花期の穂温も推定できる。
同研究所では、「(この気象データベースを)既存の作物データベースや栽培試験データと組み合わせることにより、近年の温暖化傾向がイネの生育に及ぼしている影響を容易に調べることが可能になった」といっている。
No.2009-12
2009年3月23日~2009年3月29日