(独)物質・材料研究機構は3月26日、(株)豊田中央研究所と共同で、アルミニウム薄膜にナノ加工技術で形成する周期的な孔の列(アレイ)で起きる光の異常透過現象(表面プラズモン共鳴)を利用したカラーフィルターの開発に成功したと発表した。既に単色性・透過率に優れた赤、橙、黄、緑、青の5色のカラーフィルターができている。このカラーフィルターは、ガラスや半導体基板だけでなく、折り曲げできる透明フィルムでも作れるので、将来の超高解像デバイスやイメージセンサーなどへの応用ばかりでなく、発光ダイオードに取り込むことで光取り出し効率の飛躍的向上も期待される。 特定の光だけを通すカラーフィルターは、様々な分野で利用されているが、従来の方式は光を3原色に分ける際、フィルター材料の吸収による遮光か、光の干渉による特定波長の透過または反射によるものだった。近年、金属薄膜にナノスケールの超微細加工技術で形成した構造での表面プラズモン共鳴を利用するフィルターの研究も行なわれているが、使っている金属は金・銀・銅といった貴金属で、パターン形成も一つ一つのパターンの直接加工なので、作製工程やコスト面から、実用化に向けての課題が多かった。 そこで研究者は今回、ガラスの基板上の厚さ150nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)のアルミニウム薄膜に電子線と反応性イオンを用いた加工技術で光の波長の半分程度の大きさの丸い孔を周期的に並べて作り、表面をシリコン酸化膜でカバーした。孔の直径は、150~210nmで、並んだ孔の間隔(周期)は300~420nm。この孔の周期によって透過する光の波長が決まる。 開発したフィルターは、それぞれ周期420nm、380nm、340nm、320nm、300nmの孔の列で構成されており、いずれも周期の1.65倍(穴の直径の3.3倍)に相当する波長の光が透過し、赤、橙、黄、緑、青の光を通す。 詳細はこちら |  |
新カラーフィルターの透過光像。赤、橙、黄、緑、青の5色が綺麗に出ている(提供:物質材料研究機構) |
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