信号ケーブル内部の構造を可視化
:高エネルギー加速器研究機構/日立製作所ほか

 高エネルギー加速器研究機構は3月25日、(株)日立製作所などと共同で、高エネルギーのX線を利用する「屈折コントラストX線CT法」と呼ぶ方法を使って信号ケーブル内部の立体構造を可視化することに成功したと発表した。
 X線は、物質を透過し、内部構造を可視化できることから、医療や工業分野など幅広い分野で使われている。しかし、高エネルギーのX線は密度の低い有機物のような材料に対して感度が低く、低エネルギーのX線は密度の高い金属のような材料への透過力が弱いため、信号ケーブルのような大きく密度が異なる何種類もの材料で構成される製品の内部構造を可視化するのはこれまで困難だった。
 新技術は、両者と(財)佐賀県地域産業支援センター、筑波大学、日立電線(株)が共同で開発したもので、有機材料の可視化に使われている屈折コントラストX線CT(コンピューター断層撮影)法に金属をも透過する70,000電子Vの高エネルギーX線を対応させることで直径6mmの信号ケーブル内部の立体構造を可視化することに成功した。
  屈折コントラストX線CT法は、X線が物質を透過する際に密度の差に応じて屈折する(折れ曲がる)ことから、その屈折角を検出して密度分布の画像を得るという方法で、乳がんなどの検査に使われている。
 今回の内部構造可視化法は、密度が大きく異なる材料で構成される工業製品や複合材料、バイオ材料の評価など幅広い分野への応用が期待されるという。

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