日本古来の醸造技術活かしたバイオエタノールの新製法を開発
:農業環境技術研究所

 (独)農業環境技術研究所は3月25日、セルロース系資源である飼料用イネなどを用いて、収穫後に貯蔵しながら糖化・発酵させるという今までにない方法でバイオエタノールを生産する「固体発酵法」を開発したと発表した。
 バイオマス(生物資源)を原料とするエタノール(エチルアルコール)生産技術の開発では、バイオマスを分解・発酵・蒸留する過程にまだ様々な課題があり、低コスト化を阻んでいる。
 開発した技術は、酵素などが持つ自然な力を利用する日本古来の酒や漬物などの醸造技術や近年国内で普及してきた牛の自給型飼料(サイレージ)の発酵貯蔵技術を応用したもの。加工処理などの工程が少ないため、使用するエネルギーを低く抑えることができ、いわば「農業・醸造型バイオエタノール生産技術」といえる。
 研究では、農地から刈り取ってきた飼料用のイネと、米作で出るワラを切断後、酵素と微生物を添加し、小規模な固体発酵を検討した。
 飼料用イネを用いて「固体発酵法」を試したところ、20日間の貯蔵・発酵の後1t(乾燥重量)当たり213ℓのエタノールが生産でき、この原料を用いた生産目標値の1t当たり317ℓの約70%の実績を得ることができた。ワラでは、同じ方法で1t当たり75ℓ生産できた。
 飼料用イネからエタノール213ℓを生産する際に必要な酵素のコストは、エタノール1ℓ当たり127円で、目標値(100円)をクリアすることはできなかったが、使用する酵素量を10分の1に減らしたところ、エタノールの生産量は129ℓとなり、酵素のコストをエタノール1ℓ当たり26円にまで下げることができた。
 同研究所では、今後他機関と連携し、さらにエタノールを低コスト・高効率で生産する技術の開発を進めることにしている。

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