小笠原の絶滅危惧鳥「メグロ」の生態で新たな発見
:森林総合研究所

 (独)森林総合研究所は10月17日、小笠原諸島(東京)に生息する絶滅危惧種の野鳥「メグロ」が僅か数kmしか離れていない島と島の間をほとんど移動していないことが分かったと発表した。ニュージーランドのキウイのように、飛翔力を失った鳥が島の間を移動しないことは知られているが、メグロのように飛翔力を持った鳥がこれほど近い島の間で交流を行わない例は非常に珍しいという。
 太平洋に浮かぶ小笠原諸島は、「東洋のガラパゴス」と称される日本を代表する海洋島(大陸とつながったことのない島)で、この島にしかいない多くの生き物が生息している。鳥類では、4種類固有種がいたが、内3種はすでに絶滅し、メグロだけが残っている。
 このメグロは、小笠原諸島の中でも母島列島の母島、向島、妹島の3島にしか生息しておらず、これら3つの島はほんの数kmしか離れていない。
 研究では、3島のメグロの遺伝子を解析。合計132羽のミトコンドリアDNA(デオキシリボ核酸)の配列を分析したところ、各島ごとにDNAの構成に著しい違いが見られた。
 また、メグロの形態を比較したところ、向島と妹島ではくちばしの形が異なっていることも判明した。
 こうした結果から、「各島のメグロは、それぞれ異なる進化の道を歩み始めている可能性があり、それぞれの島の個体群を別々に保全する必要がある」と同研究所は見ている。

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小笠原諸島に生息する絶滅危惧種の野鳥「メグロ」(提供:森林総合研究所)