(独)産業技術総合研究所は10月15日、汎用のプラスチックより格段に良く熱を逃がす熱伝導性に優れた無機粒子分散プラスチック複合フィルムを開発したと発表した。 電子・通信機器、照明機器などの小型・高性能化に伴い熱を逃がす放熱が大きな問題になってきている。たとえば、次世代の照明と期待されているLED(発光ダイオード)は、更なる高出力・高輝度化が求められているが、発熱を放散しきれず高輝度化が困難になりつつあり、高い熱伝導率のLED用プラスチック基板が強く求められている。 新複合フィルムは、窒化ホウ素の微粒子をフィラー(分散粒子)としてプラスチック中に均一に分散させる条件を見つけて実現した。 窒化ホウ素は、セラミックスの一種で、プラスチックの数十倍の熱伝導率を示すことが知られている。しかし、窒化ホウ素の表面には、官能基と呼ばれる化学反応を起こす原子団が少ないため、プラスチックに均一に分散させることが極めて難しい。 同研究所は、表面に官能基を多く持つプラスチックとの親和性が高い窒化ホウ素フィラーを使い、フィルムの原料になるワニス(プラスチックの塗料)への均一分散を可能にして、高い熱伝導率の無機粒子分散プラスチック複合フィルムを作製した。 窒化ホウ素の平均粒子径は、約0.8µm(マイクロメートル、1µmは100万分の1m)。このフィラーをポリアミド酸というプラスチックワニスに加え、練った後、熱プレスにかけてフィルムにするが、熱伝導率はフィラー添加量の増加と共に高くなり、添加量60%で1mºC当たり7W(ワット)を記録している。この熱伝導率は、汎用のプラスチックの数十倍に当たる。 詳しくはこちら |  |
高熱伝導率の無機粒子分散プラスチック複合フィルム(提供:産業技術総合研究所) |
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