(国)農業環境技術研究所は3月25日、農薬の生態リスク評価のための新たな解析手法である「種の感受性分布」についての技術マニュアルを公開したと発表した。
河川などに流出した農薬の影響を評価する手法として、河川などの環境中濃度と、特定の生物種への毒性値を比較するのが一般的だが、農薬に対する影響は生物種によって極端に異なる。限られた特定の指標となる生物種に対する毒性を調べるだけでは農薬の生態系への影響を把握することは困難というのが現状だ。
農薬の影響評価に向けて生物種の感受性差を統計学的に解析するものが、種の感受性分布という手法。種の感受性分布の描く曲線は、農薬の濃度が上がるにつれて影響を受ける生物種の割合が高くなっていくという関係を表す。これを使って、農薬の濃度から「影響を受ける種の割合」を計算してリスク指標とする方法と、95%の種を保護する濃度を指定してリスク管理の目標値とする活用法の2つがある。
公表した技術マニュアルは、1~4章、参考文献、付録からなり、基本的な解説などを第1章で、毒性データの収集・評価法を第2章で、これまで行ってきた解析結果などを第3章で解説、第4章では専門家向けの高度な解説を行っている。技術マニュアルは同研究所のウェブサイトに掲載。