
調査開始時の血中β-クリプトキサンチンレベルと2型糖尿病発症リスクとの関係(提供:(国)農業・食品産業技術総合研究機構)
(国)農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は3月23日、ウンシュウミカンに含まれる成分の一種「β-クリプトキサンチン」の血中濃度が高いと生活習慣病になりにくくなることが分かったと発表した。農研機構果樹研究所、浜松医科大学、浜松市との共同研究でこれまでの研究でウンシュウミカンが骨の健康に有効だとする結果がでており、今回の生活習慣病予防という新たな機能に、いっそうの消費拡大が期待される。
ウンシュウミカンは、温州ミカンともいわれ、カロテノイド色素の一種β-クリプトキサンチンを多く含んでいる。
果実や野菜に多く含まれているカロテノイド色素類は、ストレスを軽減してさまざまな生活習慣病の予防に有効とされており、農研機構など3機関は平成15年に浜松市の特産品であるウンシュウミカンのβ-クリプトキサンチンに着目、以来10年間にわたって栄養疫学調査を続けてきた。追跡調査を行った910人の血中β-クリプトキサンチン濃度について、その値が低いグループから高いグループまで3グループに分け、生活習慣病の2型糖尿病、脂質代謝異常症、アルコール性肝機能異常症の発症リスクとの関連について解析した。
その結果、血中β-クリプトキサンチンが高濃度のグループの2型糖尿病の発症リスクは、低濃度のグループを1.0とした場合0.43となり、脂質代謝異常症で1.0と0.66、アルコール性肝機能異常症でも1.0と0.51と、いずれも発症リスクが明らかに低下することが分かったという。
浜松市で採れる「三ケ日みかん」は、骨の健康に役立つ機能性食品として発売されており、今回得られた生活習慣病予防効果は、新たな機能として注目されるとみられる。