(国)農業生物資源研究所は12月3日、遺伝子組み換え技術を使って開発したスギ花粉症治療イネの今年の栽培状況を発表、指標作物との交雑はなかったことを明かにした。
このイネは、5月27日に、つくば市(茨城)の同研究所の隔離圃場(ほじょう)の水田で田植えをし、9月15日に稲刈りを行って同日脱穀した。栽培期間の5月27日から防鳥網で水田の周囲を覆い、野鳥などによる食害や種子の外部への飛散防止図るとともに、隔離圃場を囲むように敷地境界など6カ所に開花期が同じ指標イネを植えたポットを配置した。
指標イネから得た種子1万3728粒について組み換え作物栽培実験指針に基づく交雑調査を実施した結果、「交雑は認められなかった」という。
今年のスギ花粉症治療イネは、粗籾(あらもみ)の状態で約300kgを収穫。このイネは、籾の状態で保管し、医薬品の開発や、安全性を評価する動物試験などの試験材料に使う。