無人で温室内にムラの少ない農薬散布する防除機を開発
:農業・食品産業技術総合研究機構(2015年11月10日発表)

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開発したエアアシスト静電防除機(提供:(国)農業・食品産業技術総合研究機構)

 (国)農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は11月10日、(株)やまびこ、みのる産業(株)と共同で温室内に農薬を無人で散布ムラの少ない散布をする防除機を開発したと発表した。

 園芸施設の温室は、閉鎖された高湿度の空間になるので露地栽培より病害虫の大量発生を招きやすく、農薬散布作業が頻繁に行われている。現在、その作業は、作業者が噴霧ノズルを持って歩行しながら行う手散布で主に実施されているが、栽培面積の拡大もあって省力化・自動化が課題となっている。

 開発した防除機は、農薬の噴霧粒子に静電気を付加して作物に付着させる静電散布と、噴霧方向に風を送るエアアシストを組み合わせて温室内の無人防除を実現した。

 装置は、自動走行台車、静電噴口部、エアアシスト部の構成。自動走行台車は、全長130cm、幅45cm、重さ135kg。バッテリー(24V)駆動により、畦(あぜ)の間を畦に沿って秒速20〜80cmの作業速度で自走し、自動で往復散布を行う。

 埼玉県農業技術研究センター、宮崎大学などの協力の下、これまでにキューリ、メロン、トマトについて防除試験を行っているが、「開発機は手散布並みの防除効果を得ることができ、面積当たりの散布量削減の見通しも得た」(農研機構)。

 現在、福島、千葉、広島などの園芸施設で開発機の実用性を検証する実証試験が進められており、来年度以降の市販が計画されている。

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