縄文人と渡来系弥生人、体形に見られぬ違い
―発掘した骨のデータ比較研究で判明
:国立科学博物館/東京大学(2015年11月13日発表)

 (独)国立科学博物館は11月13日、東京大学との共同研究で、縄文人の体形は、東北アジア起源の渡来系弥生人と違わないことが明らかになったと発表した。縄文人の胴体サイズに対する相対的な腕や足の長さを分析したところ分かったもので、いわば胴長短足体形。これは、縄文人の南方起源説よりも北方起源説に合う結果だという。

 

■「北方起源説」に合致する結果に

 

 縄文人は、縄文時代の日本列島に暮らしていた人々で、縄文人の祖先がいつ、どこから日本に渡ってきたのかは、はっきりしていない。また、渡来系弥生人は、朝鮮半島経由で大陸から渡来してきた人々で、起源は北東アジアと考えられている。

 世界各地の現代人の体形を比べると、アフリカなど温暖な地域の人々は、胴に対して腕や脚が長いが、寒冷地の人々は、胴が大きく、四肢が短い傾向がある。これは、体の体積と体表面積に関係している。熱帯地方では、突出部の四肢を大きくして熱を逃がしやすくし、寒冷地では突出部を押さえて放熱を防いでいるためだ。

 研究チームは、北海道から九州までの20の遺跡から出土した縄文人63体と九州北部から山陰の4遺跡から発掘の渡来系弥生人27体の胴体のサイズと四肢の長さを比較、分析した。その結果、縄文人と渡来系弥生人では、差が見られないことが分かった。縄文人の腰幅に対する四肢の長さは、熱帯で暮らす人々より短く、北極で暮らすイヌイットよりは長かった。

 縄文時代人はついては、これまで、アジアの南方起源説と北方起源説がいわれていたが、この研究では北方起源接と矛盾しない結果が得られたとしている。

詳しくはこちら