駐車・給油時に出る揮発性有機化合物成分を分析
―オゾンを生成する成分の割合が燃料より多く計測
:国立環境研究所(2015年11月11日発表)

 (国)国立環境研究所は11月11日、(独)交通安全環境研究所との共同研究で、ガソリン自動車の長時間駐車時や給油時に蒸発・放出される揮発性有機化合物(VOC)には、燃料成分よりもオゾンを作り出す能力が高く、大気汚染の度合いを強めることが分かったと発表した。外国車よりも日本車の方が多くのVOCを排出していると警告し、対策の必要性を求めている。日本で実態が明らかにされたのは初めて。

 

■長期駐車では米国車より多い日本車からの放出

 

 大気中に放出されたVOCは、光化学オキシダントや浮遊粒子状物質(PM2.5)などといった大気汚染物質の原因物質一つで、工場や自動車から発生する。ガソリン車ではマフラーからの燃焼排ガスに加え、あまり知られていないが燃料パイプから染み出す排出物や、長時間の駐車中に燃料タンク内の圧力が変化することによる排出がある。さらに、ガソリンスタンドでの給油時にもタンク内の蒸発ガスが排出されており、中央環境審議会が早急な実態把握を求めていた。

 同研究所はマフラー、燃料パイプ、長時間駐車中、給油時の4つの状態で、それぞれ蒸発する炭化水素VOCの成分を、年式が異なる小型車から中型車まで日本車7台と外国車2台を使ってリアルタイムで計測し、大気環境への影響を調べた。

 その結果、駐車時と給油時ともにオゾン生成力の強い有機物質アルケン(二重結合を持った炭化水素)の割合が多いことが明らかとなった。これは、燃料成分と比較すると大気汚染の度合いを強めると考えられるという。また、長期の駐車時には、日本車は米国車よりも多くのVOCを放出していることも分かった。

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