アマゾン熱帯林の高精度な樹高マップを作成
―森林の炭素蓄積量の推定、より正確に
:森林総合研究所/東京大学/ブラジル・アマゾン研究所ほか(2015年8月5日発表)

 (国)森林総合研究所は8月5日、東京大学、ブラジル国立アマゾン研究所、同国立宇宙航空研究所と共同で、アマゾン熱帯林全域の高精度な樹高マップを作成したと発表した。地球温暖化対策に重要な森林の炭素蓄積量を正確に推定するのに役立つという。

 

■衛星データに10万本超の野外調査で精度検証

 

 森林の炭素蓄積量を推定するには森林面積に加え、森林樹高の高精度な計測が欠かせない。森林の樹高推定法としては、航空機によるレーザー計測や空中写真を用いる方法などいくつかあるが、アマゾン熱帯林はあまりにも広域で手間や費用がかかり過ぎるといった問題を抱えていた。

 研究グループは今回、人工衛星からの撮影画像と3次元レーザー計測のデータとを結合するプログラミング手法を開発、衛星画像から雲の影響を取り除く「雲除去処理」という独自技術も用い、高精度な樹高マップを作成した。

 用いた衛星画像は1万枚超、これに宇宙からの三次元レーザー計測のデータ270万点以上を組み合わせ、数千キロ四方に及ぶアマゾン森林の樹高を500m間隔で地図化することに成功した。

 アマゾン奥地約800カ所で計10万本以上の樹木を対象に樹高を調査し、この地上調査結果を基に樹高マップを検証したところ、地域間の樹高の異なりがこれまでより正確に検出されていることが確認されたという。

 今回開発した方法は他の地域の樹高マップ作成にも利用できるため、温暖化対策に向けて有用な情報提供が期待できるとしている。

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