環境中の放射線を高感度で計測する装置を開発
―GPS使い結果をマッピングし汚染分布を素早く把握
:農村工学研究所/クリアパルス(2015年2月5日発表)

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構の農村工学研究所と放射線測定機器メーカーのクリアパルス(株)は2月5日、農地など環境中の放射線を高感度計測する装置を開発したと発表した。無線走行する車や気球、無人ヘリなどに搭載して使えば、広範囲にわたる汚染分布が素早く把握できる。除染効果の判定などに役立つと期待しており、近くクリアパルスが発売する予定だ。

 

■無線操作の車やヘリ、気球などに搭載し計測も

 

 開発した装置は重量5kg程度。環境中にある放射性物質が出すガンマ線の量を捉える高感度の検出器のほか、レーザー高度計、GPS(全地球測位システム)受信機、パソコンなどで構成される。

 電源供給、システム制御、データ収録はすべてパソコンが行い、特別な機器は必要ない。無線で遠隔操作する車や無人ヘリに載せて移動させながら一定時間内にガンマ線がどれだけ検出できたかを積算、そのときの位置や高度を自動的に記録する。一定の範囲を連続的に測定しながら、汚染分布が容易に得られる仕組みだ。

 検出器がとらえるガンマ線の積算時間は自由に変更できるため、汚染状態によって積算時間を変えることで適切な測定精度を実現できる。福島県飯館村で測定を試みた実験では、10秒間の積算時間で十分な精度が得られたという。

 研究グループは、「遠隔測定が可能なので、より高線量の地域や、ため池など測定者が立ち入りにくい場所にも利用されるよう期待している」と言っている。

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気球(右)や無人ヘリ(左上)、ラジコン移動車(左下)に搭載しての測定の様子(提供:農業・食品産業技術総合研究機構)