(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月26日、「静かな超音速旅客機」の実現に向けソニックブームの低減を目指す試験機の飛行試験をスウェーデンの実験場で行う予定だったが、天候の悪化により中止したと発表した。
ソニックブームは、ジェット機の超音速飛行で発生する衝撃波が生む大音響のこと。その低減は、次世代超音速旅客機を実現するための最重要課題の一つといわれている。
JAXAは、ソニックブームを半減させることを目指す「低ソニックブーム設計概念実証プロジェクト(D-SEND)」を推進中で、現在第2フェーズに入っており、これまでに開発した無人・無推力の小型試験機をフィンランド国境に近いスウェーデン北部のスウェーデン宇宙公社(SSC)エスレンジ実験場(キルナ市)の上空で飛行させるのが今回予定していた飛行試験。
飛行試験は、全長7.9m、重さ1tの無人・無推力小型試験機を気球に吊るして上昇させ、高度が3万m近くまで達した時点で切り離して滑空させ、飛行速度がマッハ約1.3(時速約1,560km)となったときに発生するソニックブームを計測するというもの。
昨年8月に実施した第1回目の飛行試験では、試験機が計測地点の約12km手前で予定の飛行経路から外れてしまい、想定していた飛行状態でのソニックブームを計測できずに終わっている。調査・対策チームを設けて検討を重ねた結果、飛行制御のプログラムが不完全だったために機体の振動を制御しきれなかったことが原因だったと分かった。第2回目の今回はその対策をとって7月22日~8月22日の予定で計画、天候不順からさらに26日まで延長していた。