
果樹研の育成地と全国カンキツ生産地24カ所の試験研究機関で試験栽培した「璃の香」のかいよう病発生程度(2011~2012年)(提供:果樹研究所)
(独)農業・食品産業技術総合研究機構の果樹研究所は5月23日、カンキツ類の最重要病害「かいよう病」に強く、味がまろやかなレモンの新品種を開発したと発表した。
かいよう病は、細菌によって生じる病斑をつくる難病で、現在のところ効果的な薬剤がなく、発生の予防対策に努めることが重要となっている。中でもかいよう病に弱いのが、レモン。このため、レモンの生産は、瀬戸内海地方など温暖で降水量の少ない地域に限られている。
同研究所が開発した新品種は、「璃の香(りのか)」といい、かいよう病に強いほか、酸味がまろやかで、搾汁率が高い、などの特徴を持っている。
同研究所は、この新品種「璃の香」の試験栽培を静岡市にある同研究所カンキツ研究興津拠点と、全国のカンキツ生産地24カ所の試験研究機関で実施しており、かいよう病の発生が従来品種より大幅に減少したことを確認している。
また、果実は、既存の品種より一回り大きい200g程度にまで成長し、約1カ月早い11月下旬頃から収穫できたという。
新品種「璃の香」は、今年の5月15日に「品種登録出願公表」(品種登録出願した品種の内容について公表する制度)済みで、「平成27年秋季から苗木が販売される見込み」という。