
実物大の通常の住宅(モデルA)と耐震補強住宅(同B)を比較する(提供:防災科学技術研究所)
(独)防災科学技術研究所は5月20日、インドネシアの典型的な庶民住宅のレンガ造り住宅と、それをワイヤーメッシュ(溶接金網)で耐震補強した住宅とを同研究所(茨城・つくば市)の大型耐震実験施設の震動台の上に設置して耐震補強の効果を調べる実大震動台実験を実施すると発表した。
この実験は、「インドネシア型レンガ組積造住宅(そせきぞうじゅうたく)における耐震補強工法の実大震動台実験」と称し、三重大学との共同研究「開発途上国の住宅の地震時の人的安全性に関する実験的研究」の一環として行うもの。
インドネシアでは、2004年にスマトラ沖地震、2006年にジャワ島中部地震、2009年にスマトラ沖地震、と近年続けて大きな地震が発生し、その度に庶民のレンガで作った建築基準に則っていない住宅(レンガ組積造住宅)の多くが倒壊して甚大な人的被害が生じている。
このため、そうした建築基準に則っていない「ノンエンジニアド住宅」に対する耐震補強工法の開発が、インドネシアをはじめとする途上国の地震防災の重要課題になっている。
今回の実験は、そのレンガ組積造住宅の耐震補強工法として期待されている安価なワイヤーメッシュによる耐震補強の効果を検証しようと実施するもの。間口と奥行きが3.6m、高さが3mの同じ広さの普通のインドネシア型レンガ組積造住宅と、ワイヤーメッシュで耐震補強したものの2棟のモデルの比較倒壊実験を、6月5日に行うことにしている。