「だいち2号」打ち上げ成功、地球周回軌道に乗る
―レーダー分解能大幅向上、観測領域も大きく拡大
:宇宙航空研究開発機構/三菱重工業(2014年5月24日発表)

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宇宙で観測を続ける「だいち2号」のイメージ図(提供:宇宙航空研究開発機構)

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業(株)は5月24日、JAXA種子島宇宙センター(鹿児島・南種子島町)から国産大型ロケットH-ⅡA24号機で陸域観測技術衛星「だいち2号」を打ち上げ、地球を回る軌道に乗せるのに成功したと発表した。打ち上げ時間は同日午後0時5分。「だいち2号」は約16分後にロケットから切り離され、傾斜角約98度、高度約647~630kmの地球を回る軌道に乗った。

 

■半年後からデータ提供へ

 

 「だいち2号」は、平成18年1月に打ち上げられ、東日本大震災の際、三陸沿岸の津波被害の状況把握などに活躍した陸域観測技術衛星「だいち」の後継機。開発時間の短縮と重さ・コスト低減のため、「だいち」に比べて機能を単能化し、光学センサーを乗せない代わりに、昼夜の別なく地表観測できる波長の長い電波を使った地表可視レーダーにスポットライト観測モードを追加した。

 このため、「だいち2号」の可視レーダーによる地表の分解能は「だいち」の約10mから約1~3mまで大幅に向上。また、「だいち」になかった左右観測機能を持たせたことにより、観測可能領域が「だいち」の870knから2,320kmに広がった。重さ約2.1tの「だいち2号」は、こうした機能を駆使して日本付近は約12時間ごとに宇宙から観測、得たデータは地震や津波、地盤沈下等の災害監視から森林伐採、様々なインフラ監視にまで利用される。データの一般提供は打ち上げ半年後から実施の見通し。

 「だいち2号」の開発費は打ち上げ経費も含めて約374億円。今回はH-ⅡAロケットの衛星の打ち上げ能力とスペースに余裕があったので、「だいち2号」のほかに東北大学や和歌山大学などが開発した重さ50kg以下の小型衛星4機が相乗りして打ち上げられ、いずれも軌道に乗っている。推力増強型のB型も含めたH-Ⅱ型ロケットの打ち上げ成功は今回で28機中27機で、打ち上げ成功率は96.4%に達している。

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