(独)産業技術総合研究所と(株)マグネスケールは4月23日、超高精度で超高分解能のロータリーエンコーダーを開発したと発表した。分解能は360°の約86億分割相当で、±0.03角度秒の誤差内で角度を計測できる。高精度な角度位置決めを必要とする工作機械などの精度や生産性の向上が期待できるという。
■研磨省いた表面加工も可能
ロータリーエンコーダーは、モーターなどの回転軸に取り付け、軸の回転変位を検出するいわゆる角位置センサー。産業ロボットや工作機械を精密に動かしているモーターなどの角度の位置決め制御に使われている。
研究チームはマグネスケール社の高性能ロータリーエンコーダーに、産総研が開発した自己校正機能付き角度検出器「SelfA」の技術を適用し、これまでの市販品では達成できなかった精度、分解能を実現した。
SelfA機能を持つロータリーエンコーダーは、検出ユニットが出す角度信号に含まれる角度誤差を、ロータリーエンコーダー自体が高精度に検出し、補正する。この角度誤差には、目盛誤差だけではなく取り付け時の偏心による角度誤差も含まれるため、取り付け後の誤差も検出できる。
これを組み込んだ工作機械で、たとえばジェットエンジンのブレード(タービンの羽根)を加工すると、形状精度が上がるだけではなく、加工面の表面粗さが改善され、研磨せずに鏡面加工を行える可能性があるという。
マグネスケールは検出ヘッドと内挿回路を一体化したトータルシステムの製品化を検討している。

マグネスケールが新規開発した直径167mmの目盛スケール(一周約200万パルス)(左)とマグネスケールの検出ユニットを8個使用した「自己校正機能付きロータリーエンコーダー」(右)(提供:産業技術総合研究所)