(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4月24日、これまで教育などの貢献を目的に無償で実施してきた民間超小型衛星のH-ⅡAロケット衛星打ち上げへの相乗りと国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」からの放出に対し、有料の同様の打ち上げを試行的に行うと発表した。従来は対象外だった民間企業による商業利用の衛星も可能で、手続き迅速化のため選定委審査もなく、必要事項を衛星個別に確認して順次契約するという。
■新ビジネスの創出、国内需要の掘り起こし狙う
今回有償公募するのは、①平成27年度に行うH-ⅡAロケットを使ったX線天文衛星「ASTRO-H」打ち上げへの相乗りと、②平成26年10月から同28年9月までの間に行う「きぼう」からの放出の2ケース。②は半年に1回程度の放出が計画されている。投入予定軌道は、①の場合が高度約575km、傾斜角31度の円軌道、②の場合が高度約400km、傾斜角51.6度の円軌道である。
打ち上げ料金は、H-ⅡAへの相乗りの場合、衛星の大きさが1辺10cm角の立方体(質量1~1.5kg)で1基2,700万円から、50cm角のもの(質量50kg以下)で1基5,300万円から。「きぼう」からの放出では、10cm角のキューブサット級が1基300万円から、50cm級が1基1億400万円からとなっている。
公募期間は、H-ⅡAへの相乗りの締め切りが5月22日午後5時までで、6月19日までに契約しなければならないが、「きぼう」からの放出についての応募には期限はない。
今度の新しい措置についてJAXAは、これまでの無償の打ち上げ機会の提供に加えて、有償の打ち上げ機会を提供することで、超小型衛星による新ビジネスの創出、国内需要の掘り起こし、宇宙利用を抜本的に拡大するのが狙い、としている。