
高カドミウム土壌で栽培した時の玄米カドミウム濃度。稲のカドミウム吸収が促進されやすい条件で栽培。ND: 定量限界値(0.01mg/kg)未満。ML: 食品衛生法で定められたコメのカドミウム濃度基準値。土壌のカドミウム濃度(0.1モル塩酸抽出): 農地A(1.35mg/kg)、農地B(1.21mg/kg)、農地C(0.35mg/kg)(提供:農業環境技術研究所)
(独)農業環境技術研究所と(独)農業・食品産業技術総合研究機構の作物研究所は1月30日、米の代表的品種の「コシヒカリ」でカドミウムをほとんど含まない突然変異体を作ることに成功し、「コシヒカリ環(かん)1号」の名称で品種登録出願したと発表した。
この突然変異体は、植えた土壌からカドミウムをほとんど吸収せずに成長し、米の収量や食味などが通常の「コシヒカリ」と同等で、栽培方法も全く変わらないという。
つくば市(茨城)での「コシヒカリ環1号」の出穂は、「コシヒカリ」より2日程度遅いが、穂の長さなどはほぼ同じで、耐倒伏性(倒れにくさ)、いもち病などの病害耐性、高温耐性、耐冷性なども同等という。
研究グループは、利用を希望する育種機関にこの「コシヒカリ環1号」の提供を開始しており、すでに「65の水稲品種・系統に『コシヒカリ環1号』が交配されている」と農環研はいっている。