“モンスター級”のガンマ線バーストを観測
―地球から38億光年の場所で爆発
:宇宙航空研究開発機構/東京工業大学など

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と東京工業大学など日本の研究グループを含む国際共同観測チームは11月22日、太陽の数十倍の質量を持つ星が最後に大爆発を起こして強いX線を放出する「ガンマ線バースト」をしし座の方角で観測したと発表した。地球から38億光年という近い場所で起きた観測史上最大級のバーストで、従来のガンマ線放出モデルの見直しを迫るデータが得られたという。

 

■従来のガンマ線放出モデルの見直し迫る

 

 ガンマ線を検出したのは、日本時間で今年の4月27日午後4時47分。日米欧の国際チームが地球軌道を周回する国際宇宙ステーションや望遠鏡衛星で相次いで強いガンマ線を検出した。さらに東工大や国立天文台が地上の望遠鏡からバーストに伴うガンマ線や光を観測した。
 データを詳しく分析した結果、100億光年以上の遠方で発生する「モンスター」とも呼ばれる宇宙初期の巨大なガンマ線バーストと同様な性質を持っていることが分かった。その一方で、38億光年というかなり近いところで比較的最近起きたバーストであったため、史上最大級の強いガンマ線が観測されたという。
 ガンマ線バーストは、太陽の数十倍の質量を持つ星が燃え尽きて自分の重力で崩壊し、ブラックホールになるときに起きる現象。崩壊過程で光速に近い速度で落ち込む物質がジェットとなり、ガンマ線を放出すると考えられている。
 これまで、地球から比較的近い場所で起きたバーストは、爆発エネルギーが著しく小さく、遠方で起きるモンスターとは別の現象である可能性が高いとされていた。
 しかし今回、普通のモンスターがごく近いところで観測されたことで、質の高いデータが大量に得られたという。研究者らは、これによってさらに詳細な解析が進み、ガンマ線バースト理論の再検証が進むと期待している。

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