筑波大学と(独)理化学研究所、カゴメ(株)の研究チームは11月19日、受粉しなくても実をつけ、果実が軟化や裂果しにくく、しかも旺盛に生育するトマト変異体を見出し、その原因遺伝子を解明したと発表した。画期的な“夢のらくらく栽培トマト”の開発が期待できるという。
■1万系統超す変異体集団から絞り込む
研究チームは、背丈が低く葉や果実が小さいマイクロトムというトマト品種に化学処理などで変異を起こさせて得た1万系統以上の変異体集団を栽培、その中から受粉しなくても実をつける、いわゆる単為結果性を示す系統を複数選抜し、それらの中から、果実の軟化や裂果といった不良形質がなく、かつ生育が旺盛な系統を絞り込んで、その原因遺伝子を明らかにすることに成功した。
商品価値のあるトマトを単為結果性品種で作れるようになると、冬期と夏期の着果不良を克服するために行っている煩雑なホルモン処理の労力が省け、年間を通してトマトを安定的に生産できるようになる。このため、長年単為結果性品種の開発が進められてきたが、これまでのものは不良形質があり、普及品種にはならなかった。
今回の成果はトマト栽培の安定化と省力化につながるもので、見出した変異体を育種素材として活用することにより、不良形質を伴わない画期的な単為結果トマト品種の開発が期待できるという。