温室効果ガス8.2%減、京都議定書の目標を上回る
―5カ年の平均排出量速報値、排出枠取得や森林吸収で達成
:国立環境研究所/環境省

 (独)国立環境研究所と環境省は11月19日、2012年度のわが国の温室効果ガス排出量の速報値を発表した。その結果、二酸化炭素(CO2)、メタンガス(CH4)、代替フロンガスなどの温室効果ガスの2008年~2012年の5カ年(京都議定書第一約束期間)の平均排出量は、基準年比8.2%減となり、京都議定書で定められた基準年比6%減という日本の目標は達成の見込みという。5カ年の年平均排出量は1.4%増だったが、海外からの排出枠(クレジット)取得と森林吸収分を差し引いた結果、目標値を上回った。

 

■火力発電増加で2012年度は増える

 

 京都議定書第一約束期間の排出実績については、5カ年平均で12億7900万tとなり、基準年の排出量12億6100万tを1.4%上回った。
 2008年度後半からの金融危機の影響により2009年度、2010年度の2カ年は基準年を下回ったが、それ以外の3カ年は基準年を上回った。
 京都議定書で定められた日本の排出削減目標(基準年比6%減)は、森林の吸収量や京都メカニズムクレジットを含めたものであり、実際の総排出量から森林吸収量(目標約4,800万t)と、京都メカニズムクレジット(政府・民間取得合計約7,400万t)を差し引くことができる。
 それらを差し引いた5カ年平均の排出量は11億5700万tで、京都議定書第一約束期間の目標、11億8600万t(基準年比マイナス6%)を下回った。
 最終的な排出量・吸収量は、2014年度に実施される国連気候変動枠組条約と京都議定書下での審査の結果を踏まえて確定されるが、今回取りまとめた結果(速報値)からすると、京都議定書の目標は達成の見込みとしている。
 また、CH4や代替フロンガスなどをCO2換算した2012年度の温室効果ガス総排出量は13億4100万tで、基準年(CO2、CH4などは1990年度、代替フロンガス類は1995年)に比べ7,980万t(6.3%)増、前年度比では3,320万t(2.5%)増だった。
 製造業の生産量が減少したり節電が幅広く実施されたりしたが、東日本大震災以降に火力発電が増加し、化石燃料消費量が増えたことなどが増加の要因にあげられるという。

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京都議定書の達成状況(提供:国立環境研究所)