(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月8日、地球を周回している国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」で、宇宙環境が生殖細胞にどんな影響を及ぼすかを調べる宇宙実験を開始したと発表した。
この宇宙実験の名称は、「ES細胞を用いた宇宙環境が生殖細胞に及ぼす影響の研究」。マウスのES(胚性幹細胞)細胞を宇宙空間の「きぼう」内で長期間冷凍保存し、それを再び地上に戻して宇宙環境にいたマウス細胞への影響を調べるというもの。マウスのES細胞を入れたサンプルケース5セットは、3月2日に米国のケネディ宇宙センター(フロリダ州)から打ち上げられた米国の民間宇宙船で「きぼう」に届けられ、米国の宇宙飛行士の手で冷凍冷蔵庫に保管された。
JAXAは、ES細胞の経時的な変化を調べるためこれから3年の間に5セットのサンプルケースを1セットずつ5回に分けて地上に回収し、ES細胞の生存率やDNA(デオキシリボ核酸)の二重鎖切断、染色体の異常などを調べる。また、回収したES細胞をマウスの受精卵に導入してマウスの子を作り育てるなど宇宙放射線の哺乳動物細胞への影響を総合的に解析する計画。
No.2013-9
2013年3月4日~2013年3月10日