(独)農業・食品産業技術総合研究機構は2月28日、民間事業者が開発した放射性セシウム吸着資材9種類について実施した実験室内での効果実証試験の結果を発表した。
この実証試験は、東京電力福島第一原子力発電所事故で汚染した農地の放射性セシウムの除去に対し、効果のある吸着資材を明らかにするために行ったもの。吸着資材を公募して実験室内の土壌で実施した。当初、試験対象に選定した吸着資材は10種類だったが、辞退が1種類生じたため9種類になった。
実証試験は、9種類それぞれについて、実験室内に用意した土壌に応募者が示した混合割合で吸着資材を混ぜ、一定の効果が明らかとなっている対象資材のゼオライト、バーミキュライト(いずれも混合割合10%)の吸着性能と比べる形で行なわれた。その結果、(1)対象資材を上回る放射性セシウム吸着能を示したのは「プルシアンブルーフロアブル30%」(混合割合3%)1種類だけ、(2)対象資材と同等だったのは「天然鉱物系三種混合ゼオライト」(同5%)のみ、(3)残る7種類は何れも対象資材を下回った、という。
また、混合割合を対象資材と同じ10%にして比べた結果、対象資材を上回る吸着力を示したのは、「プルシアンブルーフロアブル30%」で、「天然鉱物系三種混合ゼオライト」と「ロックエースZS」が対象資材と同等だった。
ただ、吸着資材を何も使用しない場合に比べると、試験した全ての吸着資材で有意な効果が認められ、まったく吸着能力の認められないものはなかったとしている。
No.2013-8
2013年2月25日~2013年3月3日