筑波大学は2月28日、発電中の高分子太陽電池の特性を解析する手法を開発し、発電中の劣化の原因を特定することに成功したと発表した。耐久性の向上に役立つという。
開発したのは、高分子太陽電池の駆動中に蓄積された電荷の数を精密に測定し、太陽電池特性を同時に計測する手法。電子スピン共鳴法(ESR)という方法を電荷の数の測定に利用した。この新手法を用いると電荷が蓄積した場所を分子レベルで解明でき、電荷の蓄積と特性の劣化との相関を、素子を駆動したままリアルタイムで高精度に直接測れる。
実験の結果、高分子材料中に電荷が蓄積され、蓄積量が多くなるほど劣化するという明らかな相関があることがわかったという。
高分子太陽電池は有機薄膜太陽電池とも呼ばれ、軽く柔軟性があり、安く大量生産できることから次世代の太陽電池として期待されている。ただ、太陽光が当たると酸素や水分がない状態でも素子の特性が劣化することが知られており、実用化には耐久性の向上が重要課題の一つとされている。劣化の原因は素子内部の電荷の蓄積と考えられてきたが、詳細は不明だった。
今後は電荷の蓄積が生じないよう工夫することで耐久性の向上が期待できるとしている。
No.2013-8
2013年2月25日~2013年3月3日